文和春秋

主に歴史や本についての徒然語り

戦国大名北条氏の強さ

もし私が「戦国時代で一番興味深い人物は?」と問われれば、候補はいろいろ浮かぶものの、とても即答は出来ないでしょう。

しかし「戦国時代で一番興味深い勢力は?」と問われれば、迷うことなく北条氏の名前を挙げることでしょう。

それくらい北条氏の「異様さ」には、興味を惹かれてなりません。

 

例えば「団結力」。

無論国人層まで含めれば、反覆常無い者達も少なくはありません。

しかしこと親族・譜代層に限れば、正直北条家中の団結力というのは、それこそマフィアもかくやというぐらいの常識外れの強さと言ってよいのではないかと。

素人調べではありますが、私が以前謀反に類する事例を漁ってみた際も、五代百年間で親族0・譜代2(未遂1含む)といった具合でしたし。

 

次に「安定感」。

団結力にも絡む話ですが、乱世で百年もの間お家騒動が皆無。

更に二代目以降は「関東制覇」という基本方針も微動だにせず。

これらは他国と比較すると、異様さが際立つかと。

 

そして「組織的」。

小田原城を頂点として、要所要所に親族と支城を配した領内ネットワーク。

整った文書行政に生前の隠居・後見を基本とする家督継承体制等々…

とにかく何につけても、北条家はシステマチックな気がするのですが、この面も他国に比べて異質ぶりが目立つ気がします。

 

また、こと合戦においては常勝とは遠く、特に関東の覇権を巡って争った上杉謙信や、様々な軋轢から戦う羽目になった武田信玄・勝頼相手には力負けしている感すらありますが、「骨」ともいうべき重要部分を固守しつつ、粘り強く機を待って反攻に転ずる粘性の強さには、まさに興味と関心の尽きぬものがあります…